2015 Winter
★近頃、小惑星探査機「はやぶさ2」という言葉を聞くようになったよ。
【先生】「はやぶさ2」(図1)は地球を出発して小惑星へ向かいます。
★「はやぶさ」は小惑星「イトカワ」に行って表面のかけらを取ってきたんだよね。「はやぶさ2」はどこに行くのかな?
【先生】「はやぶさ2」は、小惑星「1999 JU3」に行くよ。小惑星「1999 JU3」は、まだどんな姿をしているのか分からないんだよ。そのかけらを取って地球に帰ってくることを目的にしているよ。 |
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図 はやぶさ2(イラスト:池下章裕) |
★そもそも、「はやぶさ」や「はやぶさ2」などの探査機は小惑星に行って何をするの?
【先生】小惑星には、太陽系ができた時の物質が残っているかも知れないんだよ。だから、探査機でかけらを取って調べることで、太陽系がどのように誕生して、どのように形作られてきたのかを明らかにしようとしているんだよ。
★でも、「はやぶさ」と「はやぶさ2」の目的地が違うのは何でかな? 【先生】「はやぶさ」が到着したイトカワはS型小惑星、「はやぶさ2」が目指す「1999 JU3」はC型小惑星というタイプの小惑星なんだ。「1999 JU3」(C型小惑星)は、イトカワ(S型小惑星)と比べると、有機物や水をより多く含んでいると考えられているんだよ。C型小惑星を調べることで、生命誕生の秘密をさぐる手がかりをつかむことができると考えられているからだよ。 |
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図2 はやぶさ (イラスト:池下章裕) |
【先生】「はやぶさ2」は、「はやぶさ」の成果と課題を踏まえて、改良されているよ。図1と図2を見比べてみて。本体の大きさや太陽電池パネル、イオンエンジンはほぼ同じように設計されているんだけど、丸いアンテナの数が違うね。そして一番大きな違いは、「はやぶさ2」には、新たに「衝突装置」(図3)が取り付けられている所だよ。衝突装置とは、爆薬が詰められた小型のボックスで、小惑星の上空で爆発すると、2kgくらいの金属の塊が秒速2kmで飛んでいき、小惑星に衝突する仕組みになっているんだよ。
★この「衝突装置」を使うと、どんなことができるの? 【先生】小惑星は太陽系の誕生から46億年の時間の中で、太陽光線などの影響で表面の物質が変化しているんだよ。でも、この衝突装置で小惑星に人工クレーターを作り出し、太陽光線などの影響をあまり受けていない内部の石や砂を採集しようとしているんだ。これは、世界初の挑戦なんだよ。 ★「はやぶさ2」は、どんな旅をするの? 【先生】現在の計画では、地球を出発した後、地球スイングバイなどを行い、2018年夏に小惑星1999 JU3に到着、2019年末に小惑星を出発、地球帰還は2020年末の予定です。その後、かけらを分析する予定になっているよ。ちょうど、東京オリンピックの年の末ごろに「はやぶさ2」は地球に戻ってきます。 |
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図3 衝突装置投下の様子 (イラスト:池下章裕) |
【先生】水星には探査機「ベピコロンボ(開発中)」を、金星には探査機「あかつき(太陽系内を飛行中)」を送り込んで調べようとしているよ。火星では、探査機「キュリオシティ」が探査中だよ。近い将来、この火星に人を送り込む計画も考えられているよ。
★未来がすごく楽しみになってきたよ。まだまだいろいろな探査機があるんだよね?
【先生】「はやぶさ2」や太陽系探査について、もっと詳しく知りたいことがあったら、近くの科学館や天文台に尋ねたり、ホーム-ページで調べたりしてみてくださいね。