2013 Summer
◆天の川や夏の星座を探そう!
★七夕の日には、短冊に願い事を書いたよ。叶うといいな。 でも、8月に七夕をする地方もあるって聞いたことがあるよ。
【先生】七夕が7月7日なのは、現在の暦をもとにしているからです。しかし、8月に七夕をする地方は、昔使っていた暦(旧暦)をもとにしているのです。旧暦での七夕(伝統的七夕)は、今年は8月13日です。
★ へぇ、暦のちがいなんだ。 七夕と言えば、天の川が有名だね。 でも、実際の天の川ってどのように見えるのかな?
【先生】天の川は、惑星や星座を形作っている星と比べると非常に暗いです。ですから、月明かりがない日(今年8月なら上旬や下旬)に、海や山などの街明かりから離れた場所で観察をしましょう。そして一番大切なことは、暗さに目を慣らすことです。暗いところで10分ほど暗さに目を慣らすと、たくさんの星が見えてくるでしょう。
★ 天の川を見てみたくなってきたよ。どのあたりに見えるのかな?
【先生】暗さに目が慣れたら、南の空の低いところから天の川を見つけてみましょう。南の空の低いところにある「さそり座」から、頭の真上よりやや東側の「はくちょう座」のあたりまでのびていく光の帯のようなものが天の川です。見慣れないと雲だと思ってしまうかもしれません。さそり座やはくちょう座などの夏の星座の探し方については、また後で教えますね。
図1 天の川の様子(国立天文台HP) |
★ところで、天の川の正体は何なの? 【先生】天の川の正体は、“天の川銀河”の姿と言われています(図1)。銀河とは、太陽のように自分で光を出している星が1000億~1兆個集まった星の大集団のことです。この天の川は、17世紀初め、イタリアの天文学者ガリレオ・ガリレイが、世界で初めて望遠鏡で観察し、暗い星の集まりであることを見つけました。天の川銀河は円盤のような形とされ、私たちの住む地球がある太陽系が図2のような場所にあると考えられています。銀河の中心には、多くの星が集まっており、明るく見えます。北半球の夏には、銀河の中心方向を向いているため、たくさんの星が天の川として見えるのです。つまり、“天の川を見ている”ということは“私たちの住んでいる銀河を見ている”ということなのです。実際に、双眼鏡や望遠鏡で見てみると、たくさんの暗い星を見つけることができますよ。 |
図2 太陽系と天の川銀河(国立天文台HPより引用) |
★天の川は星の集まりなんだ、知らなかった。天の川以外にも夏の星たちのことも教えてよ。 【先生】夏の星座探しのコツは、8月の初めなら午後9時頃、南東の空を見て、まず3つの明るい一等星を探すことから始めましょう。天頂に近い一等星が「ベガ(織姫星)」、その南にある一等星が「アルタイル(彦星)」です。ちょうど天の川を挟んでいますね。そして、ベガとアルタイルの東側にあるのが「デネブ」です。その3つの星を結んでできる三角形を“夏の大三角”と言い、星座探しのよい案内役になってくれます。 |
★夏の大三角の星たちには、どんな星座があるの?
【先生】ベガの近くに“平行四辺形”のような星の並びを見つければ、そこに「こと座」があります。また、アルタイルの“そばにある2つの星”の並びを見つければ、そこに「わし座」があります。さらに、デネブから“十字”のような星の並びを見つければ、そこに「はくちょう座」があります。(図3) もう1つ見つけやすい星座は、はくちょう座の十字の先から南の空へ目を移していくと、赤っぽく輝く一等星「アンタレス」を見つけることができます。このアンタレスは、太陽の何百倍も大きな星と言われています。そこからアルファベットの“S”の字の星の並びを探しましょう。そこに、「さそり座」があります(図4)。このさそり座あたりが、はじめに話した天の川がやや明るく見えている部分ですね。
図3 こと座、わし座、はくちょう座の目印 (ステラナビゲータver.9で作成) |
図4 平成25年8月1日午後9時頃の南東の空 (久留米市)(ステラナビゲータver.9で作成) |
★天の川のことや夏の星座の探し方を教えてもらって楽しかったよ。他の星座も探したくなってきたよ。どうすればいいのかな?
【先生】地域の「観望会」に参加してはどうですか?季節の星座の探し方を教えてもらったり、望遠鏡を使って惑星の姿を見せてもらったりすると感動しますよ。福岡県青少年科学館でも月に1度「市民天体観望会」を行っています。(無料。予約不要。) 7月27日(土)20:00~21:00「土星と見え始めた夏の大三角を楽しもう」 8月17日(土)20:00~21:00「夏の大三角をさがそう」