2010 Winter

冬の星座博士になろう!
冬の星空は1等星が7つもあり,1年を通じて最も美しくきらびやかです。前回ご紹介した「冬のダイヤモンド」は,そのうちの6つの1等星を結んだ六角形です。今回は,この1等星を目印にして,冬の星座さがしにチャレンジします。全て見つけることができれば,あなたも星座博士です!
1)オリオン座
冬の星座といったら,「オリオン座」を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。「オリオン座」は,1等星を2つも持っているとても贅沢な星座です。また,とてもわかりやすい「砂時計」や「ちょうネクタイ」に似た星の並びをしています。

 「オリオン座」の左上で,赤く力強く輝く星が1等星「ベテルギウス」。仮にこの星を太陽系の中心に持ってくると,火星の軌道を超えてしまうほどの大きさにふくれあがっている年老いた赤色超巨星です。「ベテルギウス」と対角の位置にあり,対照的に鋭く青白い輝きを放っている星が一等星「リゲル」です。こちらはまだ若く,表面温度が約12000度と高温の星です。
2)おおいぬ座
「オリオン座」の三つ星を左下に伸ばしていくと,寒気の中でギラギラと天を焼き焦がすかのように輝く星に行き当たります。これが全天で一番明るい1等星(正確にはマイナス1.5等星)の「シリウス」です。古代エジプトでは,ナイル川の氾濫の時期を教えてくれる星として重要なはたらきをしていました。また,2つの星からなる連星としても知られています。

 この「シリウス」のところにある星座が「おおいぬ座」です。「シリウス」を含んだ三角形の顔の部分から体の部分をつなぐと,きれいな犬の形になります。
3)こいぬ座
「シリウス」と「ベテルギウス」の2つの星と「冬の大三角」を形づくるのが,「こいぬ座」の1等星「プロキオン」です。ここに描かれている「こいぬ座」は,「プロキオン」を中心に小さくまとまったかわいい星座です。
4)ふたご座
「オリオン座」の「リゲル」と「ベテルギウス」を結ぶ対角線を左上に伸ばしたところに,ふたごの兄弟の名前がついた2つの星が仲良く並んでいます。少し暗い2等星が兄の「カストル」,明るい方の1等星が弟の「ポルックス」です。この2つの星の並びは冬の夜空でよく目立ち,日本でも,古くから「かに目星」や「猫の目」などの呼び名が伝えられています。この2つの星を頭に,2列の星の並びで描かれているのが「ふたご座」です。星座絵では,仲の良いふたごが,冬の淡い天の川に足を浸すようにして描かれています。
5)ぎょしゃ座
「オリオン座」から上を見上げると,黄色味をおびた1等星「カペラ」が見つかります。

 「カペラ」を含む明るい5つの星が将棋の駒のように並んでいるのが「ぎょしゃ座」です。日本では「五つ星」などの呼び名で親しまれてきました。
6)おうし座
「オリオン座」の三つ星を右上へたどると,アルファベットの「V」の形の星の並びが見つかります。その先端で赤く輝くのが,1等星「アルデバラン」です。この星は「牡牛の目」とも呼ばれるとおり,「おうし座」の目の位置にあります。

◆どんな道具が必要なの?
 「望遠鏡」などの特別な道具は基本的に必要ありません。目(肉眼)で観察します。ただし,冬の夜は想像以上に体が冷えるので,寒さ対策は十分におこないましょう。

◆どこで・どの方角を見ればいいの?
 できるだけ南側の空が開け,近くに街灯がなく,、車のライトに照らされない,暗い場所を選びましょう。また,1等星をたどり、冬の大三角やダイヤモンドを探す場合は明るい街の夜空でも十分に見つけることができます。


◆いつ見ればいいの?
 冬の主役の星座たちが夜9時頃の真南の空に見えるのは2月上旬頃です。1月は,それより遅い時間。2月中旬以後は,それより早い時間が目安となります。1月下旬から2月上旬の間の午後9時頃は,月明かりの影響が少なく探しやすいでしょう。

 1月中旬までなら,ぜひ夜明け前に観察してみてください。東の空にひときわ明るい「金星」,西の空に「冬のダイヤモンド」という,すばらしい光景を見ることができるでしょう。

ふくおかけんPTA新聞 第230号掲載