2010 Autumn

「月」を見よう!皆既月食を見よう!
「月食(げっしょく)」とは,太陽,地球,月がほぼ一直線に並び,満月が地球の影の中へ入り込んで欠けて見える現象です。
左の図のように,地球がつくる影には,「半影」「本影」があり,月にうつる「半影」は肉眼ではほとんどわかりません。そのため,通常は「本影」による影のみを考えます。  また,「月食」で「月が欠ける」と言っても,欠けた部分が全く見えなくなるわけではありません。わずかながらも,地球の大気で屈折してまわりこんでくる光があるので,欠けた部分も赤銅色(しゃくどうしょく)に色づいて見えています。
◆12月21日「皆既月食」
 今年3回目の月食で,皆既月食となるのは初めてです。また,今回は,月が全て欠けた皆既月食の状態で東の空に昇ってくる月食で,「月出帯食(げっしゅつたいしょく)」と呼ばれます。

福岡県青少年科学館(久留米)で見える2010年12月21日の月食の様子
 左の図のように,福岡県では,月は皆既月食のまま東北東の空に昇ってきます。「皆既月食」の終わりは17時54分頃ですが,18時30分頃までは空がまだ少し明るいため,見えづらいかもしれません。その後,月は左下から次第に大きくなり,19時過ぎに地球の「本影」から出て,満月に戻ります。


◆どんな道具が必要なの?
 「望遠鏡」などの特別な道具は基本的に必要ありません。目(肉眼)で観察します。ただし,今回は空がまだ少し明るいので,「双眼鏡」を使うとよく見えるでしょう。また,長時間観察するには,「双眼鏡」を三脚に固定すると良いでしょう。三脚がなかったり,取り付けられない場合は,両手でしっかり持ち,ベランダの手すりなどにひじを乗せて固定するだけでも見やすくなります。

◆どこで見ればいいの?
 今回は「月出帯食」ですから,東の空の低いところまで見渡せる場所を選んでください。できれば前日ごろに,月の位置と時間を確かめておくと良いでしょう。高い建物の屋上などが良いかもしれません。しかし,安全面には十分注意してください。

◆いつ・どんな方向を見ればいいの?
 福岡では月の出は17時10分頃,方角は「東北東」です。先にも説明したように,「月出帯食」ですから,ぜひ,月の出から観察してください。特に,空が薄明るい中で,皆既中の月がどのように見えるかは実際に見てみないとわからず,非常に興味深いところです。また,月食中で空が暗いときに,冬の星座たちがどのように見えているかも注目したいところです。月は「冬のダイヤモンド」と呼ばれる一等星たちに囲まれる位置にあり,それらの星たちと合わせた空の光景はすばらしいものになることでしょう。

◆「冬のダイヤモンド」とは?
 「冬の星座」の1等星は7つあります。オリオン座のベテルギウスを囲むように「ぎょしゃ座」の「カペラ」,「ふたご座」の「ポルックス」,「こいぬ座」の「プロキオン」,「おおいぬ座」の「シリウス」,「オリオン座」の「リゲル」,「おうし座」の「アルデバラン」をつないでできる星の並びを「冬のダイヤモンド」と呼びます。

◆次回の月食はいつ?
 来年見ることができる月食を紹介します。
2011年 6月16日 皆既月食
04時22分~05時12分
2011年 12月10日 皆既月食
 23時05分~23時58分

ふくおかけんPTA新聞 第229号掲載