2008 Spring


 3月11日午後3時28分、日本人の宇宙飛行士、土井隆雄さんを乗せたスペースシャトルエンデバー号が、国際宇宙ステーション(ISS=アイエスエス)に向けて飛び立ちました。今回の飛行の最大の目的は、日本で初めての”宇宙に浮かぶ研究所”日本実験棟「きぼう」の船内保管室をISSに取り付けることです。日本実験棟「きぼう」とは、どのようなものなのでしょうか。

◆日本実験棟「きぼう」のしくみ
  日本実験棟「きぼう」は、宇宙に建設する日本で初めての施設です。「きぼう」には、施設の中で実験を行う「船内実験室」、宇宙空間で実験が行える「船外実験プラットフォームと船外パレット」、実験装置や実験材料などを保管するための「船内保管室」、宇宙空間での作業の手助けをする「ロボットアーム」があります。特に、「船外プラットホーム」は、宇宙空間を長期間利用する実験や天体観測・地球観測などに使われる予定で、宇宙空間の環境をそのまま使用することができるという施設は、ISSでも初めてです。「きぼう」は、スペースシャトルで3回に分けて打ち上げられ、ISSに取り付けられます。土井宇宙飛行士が参加している今回のスペースシャトルの任務は、その第1回目で、「きぼう」の船内保管室をISSに取りつける ことが大きな目的です。

◆「きぼう」ではどんなことをするの?
  「きぼう」では、私たち人類の未来のための実験や研究、技術開発が行われる予定です。その一つが地球の観測です。現在、地球には、オゾン層の破壊や温暖化・砂漠化といった深刻な環境問題があります。これらの解決のために、オゾン層を破壊する気体やオゾン層が発する短い電波の観測を行います。また、船外実験プラットフォームのX線カメラでは、遠い宇宙の調査なども行います。また宇宙実験では、重力のほとんどない環境を利用して、病気の原因をさぐったり、新しい薬をつくるのに役立てたり、とても小さな重力や放射線などが、人間や動物・植物に与える影響を調べたりします。さらにロボットや通信・エネルギーなどの試験や技術の開発も行う予定です。

今回の土井宇宙飛行士に続き、次回のスペースシャトル(5月26日を予定)では、星出宇宙飛行士が、冬には若田宇宙飛行士が「きぼう」の組み立てのために宇宙へと向かう予定です。みなさんも、将来、3人に続くような宇宙飛行士を目指してみませんか?