2007 Winter


宇宙での生活は、以前から私たちのあこがれでした。テレビアニメの世界では、いくつもの作品で宇宙での生活が採り上げられてきました。 しかし、そのあこがれが今、現実のものになろうとしています。その第1歩となる、現在宇宙で建設が行われている、国際宇宙ステーション(International Space Station=ISS)についてご紹介します。

◆国際宇宙ステーションとは?
  国際宇宙ステーション(ISS)は、世界15カ国が協力し、地上から約400㎞の高さの宇宙空間に建設中で、完成するとサッカー場のフィールドほどの広さと、415トン(体重30㎏の小学生約1万3千833人分)もの重さをもつ「宇宙に浮かぶ巨大な研究所」になります。建設は1998年に始まり、ISSを40数個のパーツに分けて、スペースシャトルやロシアのロケットで宇宙へと運んでいます。完成は2010年の予定ですが、現在、ISSには、すでに2~3人の宇宙飛行士がISSで寝泊まりをしながら仕事をし、約6ヶ月ごとに交代して地球にもどっています。

◆ISSの役割
 ISSには、宇宙飛行士の「仕事場」となる「実験棟」と、「家」となる「居住棟」があります。日本は、ISSの6つの実験棟のうちの1つを担当しています。完成すれば、日本初の有人宇宙施設になる実験棟「きぼう」は、来年(2008年)から3回に分けて打ち上げられ、ISSに取り付けられます。ここでは、宇宙飛行士が1日8時間 ほどの作業を行い、地上にはない、宇宙だけの特殊な環境(小さな重力、宇宙放射線、広いな視野、高真空、豊富な太陽エネルギーなど)を利用したさまざまな実験や研究を行います。そこで得られた成果を活かして、地上の生活や産業に役立てていく予定です。

◆宇宙飛行士の生活
 また、「居住棟」には、寝室(個室)、トイレ、運動用の器具、調理設備など、宇宙飛行士が健康に暮らすために必要な機能がすべて備えられており、地上にいる家族と週に1度は交信もできます。宇宙飛行士は自分だけの持ち物をいくつか持ち込むことができ、本を読んだり音楽を聞いたり、地上と同じような趣味の時間を居住棟で過ごすことができます。

◆ISSで使われるものはどこから?
  ISSで使われる燃料、空気、水、食料、衣服、実験装置、修理用の部品、郵便や交代する宇宙飛行士は、ロシアのロケットやアメリカのスペースシャトルでISSへと運びます。滞在している宇宙飛行士が、スムーズに仕事をしたり、生活ができるようにしています。電気は太陽電池を使って発電し、水や空気の一部は、浄化して再利用されていますが、まだまだ大半は地球からの補給に頼っています。

  宇宙に浮かぶ巨大な研究所、国際宇宙ステーション。条件がそろえば、日の出前と日没後の2時間ほどの間に地上から肉眼で見ることができるそうです。宇宙研究開発機構(JAXA)のホームページ(http://kibo.tksc.jaxa.jp)でも情報を発信しています。みなさんも国際宇宙ステーションを見つけてみませんか?