2007 Summer



皆さんは、「オーロラ」って知っていますか?夜空にカーテンのようにたなびく光の帯を、テレビなどで見たことがある人もいるかも知れませんね。でも、本物のオーロラを見たことがある人は少ないのではないでしょうか。なぜなのでしょう?
今回は、その美しさから「神の光」とも称えられる「オーロラ」について少しご紹介します。


◆オーロラって何?
  オーロラに似ているものに「虹」がありますが、虹は、大気中にある水滴に太陽の光が反射して見えるものです。七色に見えますが、それは、太陽の光を見ているだけなのです。しかし、オーロラは、地球の大気自体が光って見える現象です。地球の大気はほとんどが窒素や酸素でできているのですが、その窒素分子や酸素原子自体が光を放つのです。しかし、私たちは大気(空気)を吸っていますが、私たちが吸った大気(空気)が光ったりはしませんよね。では、どうしてオーロラは 光るのでしょうか。

◆なぜオーロラは光るの?
  オーロラは、太陽からやってくるプラズマ粒子(プラスやマイナスの電気をもっている粒子)が地球の大気中の窒素分子や酸素原子にものすごい速さで衝突するために起こります。大気中の窒素分子や酸素原子は安定した状態(絵1)なのですが、プラズマがもっている電子が衝突した(絵2)ことで、余分なエネルギーをもらい、不安定になります(絵3)。不安定になった窒素分子や酸素原子は安定した状態に戻ろうとして、もっている余分なエネルギーを出します(絵4)。そのときに光るわけです。また、電子が窒素分子と衝突すると青やピンク色のオーロラに、酸素原子と衝突すると赤や緑色のオーロラになるといわれています。  また、オーロラが現れる高さは、地上から約100~500㎞ほどのところです(飛行機が飛ぶ高さは約10㎞)。もちろんそこは雲のはるか上ですから、もし素晴らしいオーロラが現れても、晴れていなければオーロラ は見えないことになります。



◆オーロラはどこで見えるの?

 では、晴れていればオーロラを日本で見ることができるのでしょうか。
 オーロラが見える地域は、地球の北極と南極を取り囲むような地域で見ることができます。(右図緑のリング付近。緯度が65°~80°付近)。極に近づきすぎるとあまり見ることができません。オーロラがよく現れるこの地域をオーロラゾーンと呼んでいます。地球の磁力の流れに沿ってプラズマ粒子が大気中に飛び込んでくるのがこの地域の上空なのです。北半球では、アラスカのフェアバンクスやカナダのイエローナイフ、南半球では、南極の昭和基地が観測地として有名です。しかし、ごくまれに日本のような低緯度の地域でもオーロラを見ることができるのだそうですよ。
 オーロラが、1億5000万㎞も離れた太陽によって引き起こされるなんてすごいですね。オーロラは、地球と宇宙の狭間で輝いていて、まだ分かっていないことがたくさんある不思議な自然現象です。みなさんも本やインターネットなどを使って調べてみませんか?オーロラは、地上から見ることができる宇宙からの美しい贈り物なのです。