2007 Autumn
みなさんは、どんな食べ物が好きですか?カレーライス?スパゲッティ?私たちはさまざまな料理や食べ物を食べることができます。では、宇宙に行ったらどんな物が食べられるのでしょう。ちょっと興味がありますね。今回は「宇宙食」の最新事情についてご紹介します。
◆宇宙食の歴史
宇宙食は、皆さんが生まれるずっと前、1960年代にはすでに誕生していました。当時は、練り歯磨きのチューブに似た容器にクリーム状やゼリー状の食べ物が入っていたそうですが、離乳食(赤ちゃんが食べる柔らかい食事)のようで宇宙飛行士たちの評判はよくなかったそうです。70年代になる頃には水やお湯で戻す乾燥食品が多く使われるようになり、今日では、地上で食べるのと同じように、温かくて、スプーンやフォークを使って食べるような食事が主流となっています。
◆国際宇宙ステーション(ISS)
現在、宇宙では世界15カ国が協力して、国際宇宙ステーション(ISS)の建設を行っています。ISSには、2000年の秋から常時2~3人の宇宙飛行士が滞在して、仕事を行っています。来年には、日本からも若田光一宇宙飛行士が、3ヶ月間の予定でISSに滞在することになっています。
今回、日本航空研究開発機構(JAXA)では、ISSに長期滞在する若田宇宙飛行士に、宇宙で日本食を食べてもらおうと、「宇宙日本食」を準備することになりました。
◆宇宙日本食に合格するために
しかし、宇宙に食べ物を持ち込むためには、厳しい基準をクリアしなければなりません。なぜなら宇宙食は飛行士たちにとって安全で健康的であるだけではなく、ステーション内の機械にとっても安全であることが必要だからです。JAXAによって設けられた宇宙日本食の認証基準(宇宙食として認めるための基準)には、粘りけが強く、散らばらないこと、長期保存(9ヶ月)できることなど、さまざまなハードルが設けられました。
これらの基準に沿って、12の食品会社が日本宇宙食を製作・申請し、29の食品が今年6月に合格しました。その中には、赤飯・野菜ジュースゼリー(トマト・ニンジン)・マヨネーズ・醤油ラーメン レトルトビーフカレー・サバの味噌煮・粉末緑茶・アミノ酸ゼリー・ようかん(栗・小倉)
黒飴・わかめスープなどがあったそうです。
この中で、ようかんや黒飴などの甘い物には、体や頭を動かすのに最も必要とされるエネルギー源であるブドウ糖が含まれています。また、無重力で失われる骨の成分を補うカルシウムを含む、魚を使ったサバの味噌煮やサンマの蒲焼きなどのメニューは、宇宙で健康を維持するためにとても優秀です。
どの宇宙食もおいしいそうですが、宇宙食には1つだけ欠点があります。それは、値段です。1つ1つを手作業で作るため、同じ食品でも私たちがスーパーで買う値段の100倍するのだそうです。
(例えば、スーパーで100円で売られている食べ物を、宇宙食にすると1万円に!)
でも、私たちが宇宙を旅行しながら、ふつうに宇宙食を自動販売機で買って食べている…そんな日も、もう遠くはないのかもしれませんね。